都市農村交流コーディネーター入門

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2. 農村の課題

都市農村交流コーディネーターが必要とされる背景には、どのような課題があるのでしょうか。

 

 

2.1 農村の課題

日本国土面積3778万haの内、農地面積は約470万ha(田:255万ha、畑:213万ha)を占めています。そのうち、田畑であるにも関わらず、耕作されていない耕作放棄地が38万ha(2005年)、約8%を占めています。耕作放棄地は1985年には農地面積の2%程度でしたが、この20年で4倍に拡大しています。耕地面積全体が1960年の600万haから2割減っていることに加え、ますます日本の食糧生産力は低下しています。

 

その背景にあるのが、農村の過疎化、高齢化です。

 

2000年から、えがおつなげてがフィールドとしている山梨県北杜市須玉町増富地域では、1990年に農家が132戸あったのが2000年には27戸に減り、高齢化は5割を超え、耕作放棄地は6割を超えていました。日本の農村の多くで、同様の変化が起きており、2000年に約310万戸であった農家は、5年間で約280万戸まで減少しています。

 

農村の高齢化、過疎化が進む中で、今後も耕作放棄地は急速に増えていくと予測されます。

 

 

2.2 食料自給率


現在、日本の食糧自給率は39%であり、フランス(136%)、アメリカ(127%)、イギリス(76%)と比べて、とても低い値に止まっています。特に、穀物自給率は28%です。また、家畜の飼料穀物自給率は10%に過ぎません。

 

そのような中、穀物価格の国際的な急騰が始まっています。国連食糧農業機関によると食品価格は2007年に約40%上がりました。2008年2月には小麦価格が前年同月の2倍に上がる事件がありました。今後も、人口規模の大きい中国やインドの食料需要の拡大、エネルギー価格の高騰、作物のバイオマス・エネルギーでの利用による食料提供減、気候変動による食糧供給国における生産量減少、投機的資金の流入による価格の不安定化など、グローバル経済の様々な要因が絡む中、食料価格の値上がり傾向は続いていくと考えられます。

 

 

2.3 森林資源

日本の森林は約2512万ha。そのうち、1300万ha(約5割)が天然林、1000万ha(約4割)が人工林、残りが無立木地,竹林などが占めています。国土面積に占める森林面積は約67%で、先進国の中では有数の森林大国となっています。しかし、その一方で、木材自給率18%に止まり、日本で使われる木材の多くが輸入材です。

 

林業の多くは、平野周辺部から山間部に至る中山間地域で営まれてきました。しかし、過疎化と高齢化は林業就業者を急激に減少させ、そのことが、地域経済の衰退を一層進めています。一時は、約600万円の平均年間所得を得ていた100〜500haの大規模林業者も、現在では100万円未満の年間所得と激減してしまっています。

このように、農村には、たくさんの資源や可能性があります。しかし、その資源を活用する担い手が深刻に不足しているのです。

 

 

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