
日本のココロを、いただきます。
〜「箱膳」スタイル〜
去る2月17日(土)、シブヤ大学にて、我々が推進している「箱膳」についての授業を行なってきました。
講義の場となったのは渋谷区代々木上原にある「上原社会教育館」という区の施設の料理室と茶室。授業内容は「日本のココロを、いただきます。『箱膳』スタイル」と題し、箱膳の所以から、実際に食する献立の調理、箱膳スタイルでの食事&片付けを、講義に参加した生徒の皆さんおよそ20名に体験して頂きました。
朝10時からはじまった授業では、まず、茶室にてスクリーンによる我々えがおつなげての活動内容や、日本の農業の現状と抱えている問題について、代表理事でもある曽根原さんがご報告。その後に箱膳について、簡単なレクチャーをしました。
箱膳とは、江戸時代から昭和初期まで一般家庭に見られていた食事スタイル。その頃の日本では、食事の際に「箱膳」というものが用いられていました。箱の蓋を裏返すと箱が台になり、蓋がお膳になるというもので、収納時は箱の中に自分の食器をしまう仕組み。つまり、家の中で使う「自分専用のお弁当箱」のようなもの。今回はその箱膳スタイルによるランチを、我が「えがおファーム」で採れた新鮮な農作物を使って、実際に皆さんに調理してもらい、自らの手料理で体験してもらいました。
場所を料理室へ移し、いざ、調理へ。調理担当は小黒さん。まるでクッキング教室のように、5つの調理台に4人ひと組で、お料理タイムが始まりました。事前に渡した本日の献立のレシピのプリントを元に、手順の説明を補足していきながら、調理は進みました。かつおぶしでお出汁を取ったじゃがいもの味噌汁、そのお味噌汁で使ったかつおぶしは捨てずに、えがおファームで採れたにんじん、冬場の保存食の切干し大根等を使った煮付けに入れました。そして白菜の炒め煮の3品を作りました。
皆さん、はじめて会う人同士での共同作業。役割分担をして手順通りテキパキとこなすチームや、それぞれがレシピとにらめっこしながら慎重に進めて行くチーム、ひとつの失敗から笑いが生まれ打ち解けあって和気あいあいと楽しむチームなど、調理の進め方はさまざま。それでも、最後には無事出来上がり、それぞれの器に料理を盛って完成。
小黒さんが事前に用意した漬け物と、山梨県の特産物である花豆の甘露煮、曽根原さんが自宅で炊いてきた自家製玄米ご飯、お箸と布巾を添えて、「箱」の中に収めます。
場所を再び茶室へ戻して箱膳でのランチタイム。一列に並んで、揃って「いただきます」。箱膳スタイルは主食のお米、汁もの、家庭の味である漬け物、土地の作物を活かした郷土料理の主菜を、それぞれの器に必要な分だけ盛り付け、お膳に並べます。洋食や外食に慣れ親しんでいる私たちにとっては、昔の料理は質素に感じますが、季節の野菜や素材を活かした料理に皆さん「美味しい」「自然の甘さが引き立っている」などと満足して召し上がっていました。
箱膳は食べる行為だけがすべてではありません。食べ終わった後の片付けまでが箱膳であり、このスタイルは私たちに多くのコトを教えてくれます。食事の最後には茶碗に白湯を注ぎ、一切れ残しておいた漬け物できれいに器をすすいでから、漬け物を食べて湯を飲み、最後は布巾で器を拭いて、再び器を「箱」へと戻します。
過剰摂取することも、食べ残して無駄にすることもない、健全な食生活。余計な水や洗剤を使わず、自然を汚さないという意識。そして「自分のモノ」と持つことでモノを大切に思い扱う心。何より、食事をいただけることへの感謝を家族みんなで共有し手を合わせる、あるべき家族のカタチがここにはあるのです。
受講生の皆さんは20代から50代と年齢もさまざまでした。何となくこんな生活スタイルがあったということを知っている人や、はじめて見聞きする人など年齢によって受け止め方もさまざま。モノが溢れ、異国の文化が混合している現代だからこそ受け継ぎたい日本のココロを、箱膳を通して改めて知って頂けたのではないかと思います。
